怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

最も賢い鳥の思い出

 

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  • いきもの係シリーズの原作タイトルは、原則「○○を愛した容疑者」になっていますが、今回のみ「最も賢い鳥」というタイトルになっています。これは初出がいつものメフィスト連載とは違ったため。
  • リクエスト! アンソロジーという光文社さんの企画で、作家近藤史恵さんが「ペットのアンソロジー」を編むことに。収録される10本はすべて新作という豪華版です。その一本として、近藤さんからのリクエストをいただき、書いたのが「最も賢い鳥」でした。

 

  •  いきもの係シリーズは、ずっと講談社さんからだしていただいていました。今回は光文社さん。「いきもの係の薄と須藤をだしてもいいですか?」と光文社の担当さんにきいたところ、快くOKをいただき、「いきもの係」の番外編的な一本として書くことになりました。ただ、枚数に制限があるため、いつものようなパターンではなく、いきなり事件現場で合流する展開に。
  • では、なぜヨウムだったのか。実を言うと、きっかけはNHKの番組でした。当時「ドキュメント20min.」というとてもよくできた番組がありました。タイトルのごとく、様々なテーマを20分にまとめたドキュメントです。その中の一本に、「聞いてください 私たちのつぶやきを」がありました。これは、飼い主が高齢などの理由で飼えなくなったインコやオウムなどを引き取る施設のお話でした。オウムたちは長寿であるため、飼い主が先に亡くなるケースも多いとか。斉藤由貴さんの語りも素晴らしく、ウルウルときてしまう傑作でした。これは「カメ」を書いたときにも同じことを思ったのですが、ペットが飼い主より長生きをするというのは案外、見落とされがちなことではないかと。番組に出ていたインコ、オウム、ヨウムに惹かれた私は、アンソロジーのテーマをヨウムに決めました。
  • ではなぜ、オウムではなくヨウムなのか。それは、「アレックスと私」(アイリーン・M・ペパーバーグ)という一冊の本の影響です。死の前夜、飼い主に「またね、愛してる」と言い残して31歳で亡くなったヨウム・アレックスの物語。それは「鳥は思考して話す」という事実の証明でもあったのです。
  • 近所のスターバックスで、オウムやヨウムの本を読みながら、あれこれ考えるのは楽しかったなぁ。