怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

長坂秀佳と「プラットホーム転落死事件!」

  • 特捜最前線第188話「プラットホーム転落死事件!」(脚本・長坂秀佳 監督・村山新治)を見て、あまりの面白さにふらふらとなる。

 

[ストーリー]
強盗殺人をくり返す凶悪犯グループ広域308号。特命課はその容疑者として山富銀次を割り出した。だが、銀次はアリバイを申し立てる。一家七人殺しが起きた当夜、武蔵台駅前に停めた車の中で寝ていたという。さらに、駅から飛び出し、車にぶつかってきた若い男が証人だと主張。紅林の捜査でその目撃者は近くの運送店に勤める若者新条順一であると判明する。だが彼は、当夜そこにいたことを否定。やはり銀次が嘘をついているのか。若者の証言に疑問を感じた紅林は一人、捜査を開始する。
 紅林は、当夜武蔵台駅で酔客が電車に轢かれる事件が起きていたことを突き止める。酔客は車内で女性に痴漢行為を働いた。だが乗客は皆、見て見ぬふり。武蔵台駅ホームでハンチングにマフラー姿の男が女性を助け酔客を突き飛ばした。酔客は足がもつれ転倒、そのままホームに落ち電車に轢かれたのだ。新条が目撃証言を拒むのは、彼こそが転落死事件の犯人だからではないか。
 確信を持った紅林は、転落死事件の目撃者を当たる。だが、新条の行為に正当性を感じる人々は、皆、口をつぐんだまま。助けられた女、向井圭子も証言を拒否する。正直で実直な新条を悪く言うものはいない。事件の渦中にあって、紅林は完全に孤立する。
 犯人は新条に間違いない。だが、彼を逮捕すべきなのか。紅林は迷う。

  • サスペンス、駆け引き、天才犯罪者などまったく出てこない、長坂秀佳としては、実に普通の「特捜最前線」。
  • 女性を助けた後、酔っぱらいの逆襲にあい、軽く突き飛ばした。それが人殺しへと直結してしまう。こうした場合、正当防衛には当たらず、さらに、掴みかかり投げ落としているため、過失致死にも該当しない。逮捕されれば、「傷害致死」、懲役2年から15年の重罪が適用されてしまう。この現実は今も昔も変わりがないわけで、こうした事件は現実に起こる可能性は高い……というか、起こっているのだろう。
  • 大変に重要な事件が起きているにもかかわらず、それに派生した小さな事件を解決する。特捜脚本にはよくあるパターンである。
  • 長坂秀佳的な部分はやはり犯人が身につけていたハンチングとマフラー。その出所を分刻みで追っていくところだろう。新条が問題の列車に乗るまで、どこで何をしていたか。何時何分まではハンチングを身につけていなかった。では、どこで手に入れたのか。どこでそれらを脱いだのか。
  • ラストに証拠となる一品が出てくるのだが、これは、どう考えても証拠にはなるまい。まぁ、紅林の狙いはまた別のところにあるわけで、云々するのは野暮というもの。
  • 次回は194話「判事・ラブホテル密会事件!」。似たようなタイトルがGメンにあったような……。