怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

長坂秀佳と「フォーク連続殺人の謎!」

  • 特捜最前線第208話「フォーク連続殺人の謎!」(脚本・長坂秀佳 監督・野田幸男)を見て、あまりの面白さにふらふらとなる。

[ストーリー]
3年間に及ぶFBIでの研修を終え、鶴間警部が帰国した。橘たち警察学校の同期は、彼の帰国歓迎パーティを企画する。日本全国に散っている通称「花の14期生」が再び集まるのだ。しかし、会場に向う途中、鶴間が何者かに刺殺される。凶器として使われたのは、研ぎすまされたフォークであった。友人の仇を討つため、14期生たちは特命の捜査に協力することとなる。
FBIでの研修中、鶴間は新興シンジケートのボス・ロバート横原に狙撃されていた。今回の事件はシンジケートによる復讐ではないのか。橘と桜井は、犯人のアジトと思われる廃工場をつきとめ、突入する。だが、そこに残されていたのは、同期北村の刺殺体だった。
捜査は難航。犯人は沢島、瀬川と14期生たちを次々に殺害していく。凶器はすべてフォーク。なぜ、フォークにこだわるのか。やがて、容疑者とされていたロバート横原が癌で死亡していることが判明。捜査は振り出しに戻る。
橘は殺害された4人の共通点を探す。それは、3年前、鶴間の送別会にあった。殺された4人は送別会の4次会にまで残ったメンバー。その中で生き残っているのは、橘と梶の二人だけ。二人は四次会を行った店での行動を思い起こす。彼らが店を出た後、駅で終電に乗り込むまでに、何かがあったに違いない。記憶の底に埋もれた「ある事件」とは、果たして何か。犯人はなぜ、凶器にフォークを使ったのか。

  • 凶器がなぜフォークであったのか。開始後30分、どかーんと画面上で知らされる。正直、大成功しているとは言い難いのだが、長坂秀佳の心意気の高さというか、やる気というか、信念のオーラが伝わってくる。拍手。
  • 犯人像、犯行動機が示される。長坂脚本お得意の「本人には記憶に留めることすらできないほど些細なことなのだが、当人にとっては殺害動機にすらなり得る大事件だった」パターン。橘たち刑事側が突き止めた時点では、いくらなんでも強引だろうと、首を傾げたくなる。それらの疑問が、犯人とのやりとりの中でほぼ解決されていく。つまりは、いろいろな所に伏線が用意されていたわけだ。犯人が警察に対し良い感情を持っていなかったとか、いかにして被害者たちの身元を突き止めることができたのかとか、なぜ皆殺しを図るまでにいたったのか、など隅々にまできちんと説明がなされる。驚愕に満ちたファンタジーのような長坂脚本も良いのだが、きっちりと精密に作られた推理もの脚本もまた、大変に魅力的である。