「刑事コロンボ 美食の報酬」
レストランのオーナー、ビットリオ・ロッシーが毒を盛られて死んだ。毒の成分は不明。いかにして毒を盛られたかも不明。八方塞がりな状況の中、コロンボは直前まで被害者と食事をしていた料理評論家ポール・ジェラードに目をつける。被害者が引き出しにしまっていた「レストラン振興協会」の伝票。その意味するところは何か。監督、ジョナサン・デミ。ルイ・ジュールダンのウキウキ演技がさえる名編。
- 恐喝をして金をむしり取り、それがバレそうになるとあっさり殺してしまう、冷血犯人。見ている側は、遠慮なくコロンボに肩入れできる。演出、脚本もその辺を意識しているのか、コロンボの魅力を全開にして見せつける。それが、大盤振る舞いされる料理であり、「明日の今ごろまでには犯人は逮捕されているでしょう」という異例の宣言にも繋がっている。
- 今回は冷血犯人がコロンボの殺害までを企む。その志や良しである。新・刑事コロンボにも、コロンボを殺そうとした犯人がいた。そのダメっぷりは丸一日語ってもつきることはないだろう。本作で、コロンボはワインを飲まない。そして、「証拠ってのは、こういうのを言うんです」と犯人にとどめをさす。この展開は本当に美しい。物事には限度というものがあり、「ここより、ここをすぎず」が大切なのだ。