- 11月5日より公開の映画「ALWAYS 三丁目の夕日」の試写会に行く。西岸良平氏の漫画「夕焼けの詩 三丁目の夕日」をベースに昭和33年、東京タワーが建設中であった時代の東京を描く。正直言いましてね、あまり期待はしてなかったのです。
- で、これが今年見た映画の中でベストだったわけです。私は原作漫画の大ファンであるので、映像化には消極的でした。キャラクターの設定もイメージも少し違うし。そんな否定的印象が180度変わったのは、見事な演出のせい。心というか魂は、ちゃんと西岸良平の漫画のままだったのですよ。これはうれしかったなぁ。
- まず声高に叫ばねばならないこと、それは、本作がとびっきりの「大特撮映画」であるということ。昭和33年が舞台なわけだから、現代のものはほとんど使えない。広大な街並などはオープンセットとCG合成などを駆使して作られている。建設中の東京タワーももちろん。こうした特撮の小わざがききまくっていて、上野駅駅舎なんて、頭飛びまっせ。蒸気機関車もすごかったが、それ以上に、車窓の風景。あれも作ったものなのだから。いやもう、最近のゴジラなんてこれに比べれば箱庭の人形遊びだね。日本で初めてではないだろうか、特撮を売りにしない特撮映画って。
- 映画は現在51巻ある原作の中から、いくつかのストーリーをセレクトして、一つの大きな物語を練り上げている。泣きの縦断爆撃とはこのことで、私の両隣の人は同じ場所、同じタイミングで号泣。斜め向かいの人もしょっちゅうメガネを上げ下げしていた。特撮好きと泣ける映画が好きな人は映画館へ走れ。仕事が忙しくて乾ききっている人。そんな人にもちょうど良い映画です。
- 本屋で映画で使われた原作をセレクトした「よりぬき・三丁目の夕日」を見つけた。小学館やるなぁ。映画を見る前に、これ一冊だけでも読んでみてください。けっして損はさせませぬ。コンビニなどでも売ってます。
- 原作の著者、西岸良平氏は、藤子・F・不二雄と並び尊敬する漫画家。現在は「夕焼けの詩」と「鎌倉ものがたり」を連載中。この「鎌倉ものがたり」が一筋縄ではいかない、ミステリー作品。時には本格もあり。どこかでも書いたけれど、「夕焼けの詩」には日真田という探偵が登場。時々、難事件を解決している。日真田探偵編の「三丁目七不思議事件」と「老人撲殺事件」は本格ミステリーとして恐るべき傑作である。何巻に収録されているのかは忘れてしまったが。
- MGぼーる。