怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

長坂秀佳とリンチ経営塾・消えた父親たち!

  • 特捜最前線第234話「リンチ経営塾・消えた父親たち!」(脚本・長坂秀佳 監督・辻理)を見て、あまりの面白さにふらふらとなる。


郊外で男性の撲殺死体が発見された。顔は潰されており、身許不明。全身打撲、内臓破裂、どうやらリンチにあったらしい。まもなく、死体の身許は、会社社長野本であると判明。調べを勧める特命課は、野本と同じ中小企業の社長が行方不明になっている事実を掴む。業績不審の中小企業の社長で、10日ほど出張に行くといって家を出たまま、連絡がない。手がかりは手帳に記された「S」マーク。
やがてそれは、経営塾「三望会」のマークであることが判明。橘警部は、三崎と名前を変え、潜入捜査を試みる。尾行をまかれ、睡眠薬で眠らされ、連れて行かれたのは、山中と思われる研修所。行方不明となっていた社長たちは、そこに監禁され、会長一乗寺のスパルタ特訓を受けていた。いや、笑ってはいけません。
大声を出す! 自己表現の実現! これが経営者の心構え。経営者は全国で1265万人。10人に1人、猫も杓子も経営者!! 戸浦六宏万歳。
研修の費用は10日間でわずか18000円。三望会の狙いとはいったい何なのか。
調べを進める橘。だが、会員の中にはスパイがいる。援護を期待できない研修センター内で、橘は会員たちを救うことができるのか。

  • 本編を見るまで、勝手に「学習塾」と思いこんでいたのだが、実際は予想をはるかにこえるトンデモナイ話であった。
  • 壮大な詐欺話であることは、戸浦六宏が出てきた瞬間に判るのだけれど、その妄言ぶりがとにかく楽しい。戸浦六宏一世一代でしょう。
  • 肝心の橘潜入捜査だけれど、いかんせん、相手が妄想詐欺集団なので、実際殺人を犯しているとはいえ、緊迫感にとぼしく、いかにピンチを演出しても、危機感が出ない。お約束の駆け引きもふんだんにあるのだけれど、やはり敵は鬼畜なテロ集団くらいが適当のようだ。それでも、橘(三崎)の身分を確かめるため、「子供が通っている」という小学校に電話するあたりはさすがの緊迫感。ゲーム性は健在だった。
  • ラストにはけっこうなオチが待っているのだが、それが事前に推測できてしまったのが、残念。
  • 分別盛りの中年男性が、妄言にころりと騙される。当時は絵空事であったかもしれないが、その後のカルト事件では、分別盛りのいい年した男たちがあっけなく洗脳されてしまったわけで、「長坂秀佳はタイムマシーンを持っている」という私の自説が裏付けられたのではないかと思う次第。