怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

ウルトラセブンX。バツではない5

Muho2007-11-04

  • ウルトラセブンXの第五話を観る。これまた、何だか評判が芳しくないのだが……。今回について言えば、そういう人の気持ちも理解できる。何と言っても、私の心のより所である、セブンと宇宙人の対決が全然、ぱっとしなかったしなぁ。これは演出力の問題だと思うけれど。
  • 後だしジャンケン的に勝手な感想を言わせてもらうなら、話の流れに二つの可能性を作ってしまったのが、中途半端に思える一因だろう。亡命してきた宇宙人を怪しく見せ、乱暴宇宙人登場までの繋ぎとしつつ、全滅という皮肉なラストをつきつけ、ちょっとアダルトな感じの余韻を残したかったのだろうけれど、わずか二十分強という時間の中で二つを狙ったのは無茶だと思う。前半で亡命宇宙人をあれだけ怪しく見せてしまっては、後半、善玉と悪玉のひっくり返しを期待してしまう。逃げてきた善玉が実は乱暴者で、追ってきた乱暴者が実は平和の使者だったりするのではないか。逆に言うと、あの演出、物語の流れからいけば、それで充分走れたように思う。それだけの溜めと演出があったにもかかわらず、結局、善玉は善玉、悪玉は悪玉という捻りも何もない結末なので、じゃあ、前半のあれは何だったの? ということになる。前半部分についてもう一つ言うなら、宇宙人が最初に飛来したとき、いきなり、第三の目を見せて、妙な通信を送るシーンを入れたのは失敗だろう。草むらの向こうにふらふらと消えていくシーンで切っておけば、その後、酒屋で正体を見せるシーンがより効果的だったし、善玉か悪玉かへの興味がもっとドラマチックになった気がする。
  • 皮肉な結末で「どうだ」と胸を張りたいなら、善玉、悪玉をもっとストレートに表現しないと効果がでないと思う。「スタートレック」や「スターゲイト」にはこの手のエピソードが山とある。どれも傑作揃いなのだが、向こうは五十分。こっちは二十分。ドラマとして説得力を持たせるには、時間的にちょっと厳しい。にもかかわらず、「亡命宇宙人の謎」で前半遊んでいるので、「殲滅できます」のセリフ効果が半減しているように思う。少なくとも、酒屋の店員をしたり、中華料理屋で働いたりする宇宙人を見せることで、「殲滅」や「滅亡」の皮肉が描けるとは思えない。
  • でも、宇宙人がもう少し格好良くて、セブンとの対決がもう少し短くてセンス良く描かれていたらなぁ。二人でマット運動しているようにしか見えないんだもの。
  • いや、それでも私は「セブンX」好きよ。だってがんばって作っていることだけは判るし。過去の遺産にもできるだけすがらないようにしているし。(いや、すがってはいるんだけど)