怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

ちり と てちん

Muho2007-11-20

  • 出だし、あまりにも乗り切れなかった朝の連ドラ「ちりとてちん」。ここにきて、もう私の心臓をわしづかみでありますよ。前々週の弟子集めと前週の落語会。これは稀代の傑作でありましょう。このドラマの魅力は、何と言っても、伏線と小道具の使い方。月曜に提示された伏線が土曜日に回収されたりと、構成は美しい本格ミステリーのよう。前々週で言うなら、四草がなぜ中華料理屋でバイトをしていたのか。前週で言うなら……うっこれはネタバレになるので内緒。土曜日のラスト五分は、十年に一度の大興奮でありました。小道具で印象的だったのは、前々週のハンドミキサー。人前で喋れない元噺家による実演販売→一個も売れない→主人公だけが感動して購入→自宅で使用中に壊す→元噺家は実演販売コーナーをクビになり修理受付に異動→主人公が修理を依頼しに来て再会……とハンドミキサー一つが、絶妙な流れを生んで、破綻なくドラマを紡いでいく。脚本の世界では、このくらい当たり前なのかもしれないけれど、とにかく、凄いと思った。
  • 出だしで乗れなかったと書いたが、その理由が本日判明。福井編の人々は、落語を聴いて笑いすぎ。「愛宕山」はたしかに滑稽噺だが、あれほど爆笑できるものではない。くすくす笑いがずっと続くのが上方落語の魅力だと思っている者にとって、落語の一部を聞いたとたん、ゲラゲラ笑い始める人々に、ものすごく違和感を覚えたのでありました。特に、祖父の臨終シーン。
  • それでもやっぱり、前週の「ちりとてちん」は普及の名作でありました。願わくば、このまま長丁場を乗り切って、最終回になだれこんでいただきたい。