怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

CSI ニューヨークの第16話!

  • CSI ニューヨークの第16話を観たのだが、凄かった。これはまさに、かって一世を風靡した新本格そのものじゃないか。しかも、「新本格」を映像で表現している。海を渡って、こんなところで新本格が開花していようとは。本格度の高い「ニューヨーク」の中でもピカイチの傑作。二つの事件とも、伏線、トリック(?)、結末の意外性、すべて100点満点あげてもいい。真相へのアクロバティックな飛び具合がハートを直撃さ。

 

第16話
マンションのバスタブで女性の死体が発見された。頭部には打撲痕。鏡には口紅で「I love D.L」の文字。テーブルには二つのシャンパングラス。クレジットカードから被害者の名はダイアン・ラングストンと判明。だが部屋の借り主は彼女ではなかった。本当の借り主はD.J.メルボイ。しかも彼は半年前、ストーカー行為を理由に接近禁止の申し立てをしていた。加害者となったのは、当のダイアン。彼女はメルボイの留守に忍びこみ、彼の帰りを待ちかまえていたらしい。一見事故死に見えるダイアンの死だが、バスタブより弾丸の欠片が見つかったことで、様相は一変する。被害者の体に撃たれた痕跡はない。死亡時刻は湯につかっていたため特定困難。上階に住む頭痛持ちの女性は「悲鳴を聞いた」といい、別の部屋の人間は「二発の銃声を聞いた」と証言。ストーカー女はなぜ死んだのか。これは事故か殺人か。未知の弾丸はどこから来たのか。
熱帯魚の水槽に激突して死んだ男。現場は被害者、エメリー・ゲーブルの自宅で、死因は破片で手首を切ったことによる失血死。目撃者であるエメリーの姉は、見知らぬ女が自宅に侵入、弟を殺し、逃亡したと証言する。二人は半年前自動車事故に遭い、以後、同居しているという。エミリーの職業は音楽プロデューサー。かってヒットを飛ばしながら、薬に溺れ落ち目となったシンガーが容疑者として浮かび上がる。さらに、検死の結果、エメリーはHIV陽性であることも判る。不治の病を悲観しての自殺か。そして、不可解な姉の証言。彼女の言う「見知らぬ女」は本当に存在するのか。マックは水槽などのほか、鏡が割られていたことに着目する。

 



(以下 ネタバレ)

  • 検死の結果、ダイアンの指に通電の痕跡が。彼女は感電死したのだ。だが、バスタブ付近に感電を誘発するものはなかった。ダニーは再び現場へ。そこで、浴槽の真上にある換気扇に目を止める。換気扇は壊れており、破損したコードがカバーに接触していた。換気扇の作動音に疑問を持ったダイアンは湯をはった浴槽から立ち上がり、換気扇のカバーに触れる。そこで感電、死亡した。ではなぜ、換気扇は壊れていたのか。その原因となったのは、弾丸だった。上階の床から侵入した弾丸が、換気扇を貫き、コードを傷つけ、浴槽に落ちたのだ。ダニーは昨夜の出来事を推理。まず、上階に住む頭痛持ちの女性を病院へ連れて行く。検査の結果、頭蓋内部に弾丸がめりこんでいた。つまり、女性は昨夜、夫に殺されかけていたのだ。夫は妻を殺害すべく、寝ている彼女の頭に向けて銃を撃った。一発ははずれ床へ。それが換気扇を壊し、ダイアンが死ぬ原因となった。夫は二発目を発射。それは頭部に命中したが、頭蓋内部で止まり、妻は死ななかった。仕事に出かけた夫は明朝帰宅し、生きている妻を見て仰天。だが、階下での殺人事件のため警察がアパートに。そのため、身動きが取れなくなっていた。
  • 捜査に当たるマックは、目撃者である姉の証言に疑問を持つ。大の男であるエミリーを殺害した女性を非力な姉がどうやって撃退できたのか。保険金などの目的で、姉がエミリーを殺害、偽証している可能性がもっとも高いが、証言に疑問もある。エミリーが自殺を図り、保険金を得るため他殺に偽装した可能性も考えられる。だが、ガラスと血痕の位置関係から見ても、それは不可能。マックの導き出した結論は……。姉は半年前に交通事故に遭い、脳に損傷を負った。その結果、自分の姿を自分と認識できなくなっていた。そのため、鏡に映った自分を他人と思いこみ、錯乱状態となった。エミリーはそんな姉を止めようとしたのだが、もみ合ううち、破片で手を切られ失血死した。
  • 天井から斜めにつっこんでくる銃弾。撃たれても死なない女性。鏡に映った自分を不審者として錯乱する女性。ああ、なつかしい、新本格の香りがたっぷりと……。

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