三遊亭兼好 王子の狐
弟子については一言も触れず、まくらに。爽やかな兼好師は、詐欺師を演じさせると右に出るものはいない。騙す者と騙される者の演じ分けが特に秀逸だから、とにかく面白い。いつもは人を手玉にとる狐が人間に完膚なきまでにやられる。この人間たちを兼好師がやると、どうにもギリギリ憎めない人物に仕上がるから、不思議だ。
三遊亭兼好 品川心中
上、下に分けるのではなく、あらたな下げをつけて、復讐乗り込みまでを一気に。真珠湾攻撃を例にだすまでもなく、理屈抜きの笑いの連続で、これぞ兼好師の真骨頂。これだけの腰の据わった芸は簡単に出会えるものではない。その芸が妙な写実や芸術に行くのではなく、あくまで庶民の笑いに向いている所は素敵。芸と古典知識を鼻にかけたヤツが多いんだよね。上手いと面白いはまた違う。