春風亭一之輔 花見の敵討ち
噺そのものが笑いに満ちていて、とにかく楽しい。一之輔師が演じるのだから、それはもう太鼓判。大いに楽しかったけれど、高座四席見て、何となくだけれど、見慣れてきた。ここっていう所が同じで、続くとちょっとほかに浮気がしたくなってしまう。失礼な物言いで大変、失礼。
三遊亭兼好 あくび指南
兼好師、とにかく声がよくて、顔かたちがとにかく良くて、何だか座布団の上にいるだけで周囲が明るくなる。こういう人は得だけれど、語り口もしっかりしていて、とにかく素晴らしい。ずっと聴いていられる声。
柳家小さん 真ニつ
作は山田洋次監督で昭和四十年代に書き下ろしたものだとか。小さん師……陰気を極めたような雰囲気は、脇で立ち回るおかみさんの嫌らしさで大いに発揮されるけれど、ちょっときついなぁ。真っ二つは主人公が凄惨な末路を辿る死にオチで、「蛇含草」を思い出させる。これもまた、嫌な終わり方なんだ。
柳家小里ん 夏どろ
今の小さん以上に五代目小さんぽい。小さんほどの茶目っ気はないけれど、いろいろしっかりとしていて好きだなぁ。寄席で出てきてくれると、ホッとできる人。夏どろは主客転倒の逸品で、ミステリーにできないかなと日々、考える。
古今亭文菊 笠碁
文菊師、上手いねぇ。びっくりした。風貌は色気のある坊さんにしか見えないんだけれど、語り口とのギャップがまた魅力。きっちりとした型に則って演じられているようで、これぞ落語。まさに落語。素晴らしい。基本的に登場人物は、同年配で似たような性格の二人。そこを演じ分けるんだから凄い。
桂宮治 善光寺由来
陽気に弾丸のように喋る実に噺家らしい華のある人。楽しい高座だねぇ。とても気になる人だなぁ。若さで突っ走って欲しい。
桂夢丸 身投げや
瞬き多いんだよね。せっかちなのか、上下の切り替えが早い。目線が上を向く。語り手がはっきりしないのに早口だから何が起きているか判らない所がある。
瀧川鯉昇 へっつい幽霊
見た目が幽霊か死神か。すごいよなあ。ひょうひょうとした芸風。これぞ落語。ファンになった。
笑福亭喬介 七度狐
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