怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

長坂秀佳と退職刑事船村・仏

  • 特捜最前線第500話「退職刑事船村・仏」(脚本・長坂秀佳 監督・天野利彦)を見て、あまりの面白さにふらふらとなる。

[ストーリー]
太平とともに香子までが天有会の手に落ちた。船村は心臓の発作にみまわれながらも、一人、逃走する。残された期日は2日。それまでにヤシマを殺害しなければ、孫、娘の命はない。
船村からのメッセージを手掛りに、後を追う特命課。その前後の様子から、船村の家族が誘拐されたのではと推理する。
手掛りは、天有会会長、有藤の情婦、桂すみれ。だが彼女は四課にょって逮捕、取り調べを受けている。一方、桜井たちは、船村一家誘拐に関係していると思われる鉄砲松を追う。目撃証言から、太平を連れ出したのは、鉄砲松に間違いないのだ。
姿を隠した船村は、有藤の別れた妻の自宅に現われる。有藤と別れる際、彼女は船村の世話になっていた。船村は彼女に、「ある人をある場所に連れてきてくれ」と依頼する。
神代は一人考える。船村はたとえヤシマを追い詰めても撃つことはできないだろう。だが、家族を犠牲にすることもできないだろう。ヤシマを追い詰めた時、彼は自らの命を断つ。
船村一家の運命は? ヤシマとは何者か、警察内部の密告者の正体は? 

  • 膨大な情報量が、一気に収束していく。ヤシマの正体を巡る、ぎりぎりの推理。特に犬養の推理はお見事である。前編において、手掛りはすべて提示されていたのだ。
  • 「じいちゃんがきっと助けてやるからな」「くるしいよ」にはやはりぐっとくる。今回もまた、大滝秀治がすべてである。
  • 船村、特命、新宿西署、捜査四課。そこに天有会、鉄砲松。謎としてヤシマ、密告者。あまりにやるべきことが多すぎて、正直、かなり散漫。天佑会の3人がどうなったかも触れられていないし、船村を監視していた者がどうなったのかの記述もない。さらに、鉄砲松の心変わりが唐突。恐らく、脚本の段階ではそのあたりもフォローされていたのだろう。この話をきっちりやろうとすれば、もう1話欲しい。
  • ちなみに、格好良いところは蟹江敬三がすべてさらっていく。どう考えても特命課より目立っている。彼の役所は、ひと昔前の桜井刑事そのもの。桜井が完全に安定してしまったため、特命内にそうしたキャラがいなくなっていたことは事実。後期のメンバーはあまりにソフトすぎるかも。