怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

馬の田楽と野ざらし

  • 小説は遅々として進まず、どころか、また気に入らなくなって捨てる。
  • 夜は王子の北トピアで柳家小三治師匠の独演会。「刑事コロンボ読本」でお世話になったM田氏がチケットをとって下さったのだ。小三治師匠は昔から大好きだったのだが、生で聴くのは始めて。会場はかって談志師匠の独演会を聴いた大ホール。そこが満員。当日券も売り切れとある。M田さん、貴重なチケットをありがとうございました。
  • 小三治師匠といえばマクラ。「マクラが面白い」というのは、本来、どうでもいい。マクラはマクラであって、落語を聴きに来ている者には関係ない。それを目当てに聴きに来る客がいるというのもいかがなものか。ただ小三治師匠の場合、それをやるだけの技量があるわけだから、まず別格と言うべきだろう。小三治師匠、マニアだからねぇ。「国立印刷局の1万円」、帰宅してからチェック。一枚もなかった。
  • まずは「馬の田楽」。荷物を届けに来た馬子がマイペース極まりない人々に翻弄される噺。耳の遠い人、気の短い(?)人、酔っぱらいが順番に出てくるわけだから、面白くないわけがない。これだけ笑ったのは何ケ月ぶりか。
  • つづいては「蜂蜜」の講義。蜂蜜は喉に良いのだそうだ。小三治師匠は4種類の蜂蜜(レンゲ、アカシア、スペイン産、イタリア産)を持ち歩いているのだそうだ。それを専用の筆につけ、喉に塗る。ゲー! と言わないくらいに塗るのがコツ。私も蜂蜜は愛用していて、熊本の業者さんから買っている。油断すると、何度も何度も商品紹介の電話をしてくる、あの業者である。
  • 演目は「野ざらし」。小三治師匠の「野ざらし」は案外、珍しいのではないだろうか(確証はないです)。骨を見つけ、供養してやるとその晩、女の幽霊が訪ねてくる。このパターンは関西だと「骨釣り」、「天神山」などになる。「天神山」はその後、結婚してしまうのだから、一番ハッピーな展開だろう。とんでもない幽霊が訪ねて来る「骨釣り」はアンハッピーエンドの秀作。「野ざらし」はオチまで語られることがほとんどない。「しまった昼間のは馬の骨だった」までを一度でいいから聴いてみたい。