- 小説は遅々として進まず、どころか、また気に入らなくなって捨てる。
- 夜は王子の北トピアで柳家小三治師匠の独演会。「刑事コロンボ読本」でお世話になったM田氏がチケットをとって下さったのだ。小三治師匠は昔から大好きだったのだが、生で聴くのは始めて。会場はかって談志師匠の独演会を聴いた大ホール。そこが満員。当日券も売り切れとある。M田さん、貴重なチケットをありがとうございました。
- 小三治師匠といえばマクラ。「マクラが面白い」というのは、本来、どうでもいい。マクラはマクラであって、落語を聴きに来ている者には関係ない。それを目当てに聴きに来る客がいるというのもいかがなものか。ただ小三治師匠の場合、それをやるだけの技量があるわけだから、まず別格と言うべきだろう。小三治師匠、マニアだからねぇ。「国立印刷局の1万円」、帰宅してからチェック。一枚もなかった。
- まずは「馬の田楽」。荷物を届けに来た馬子がマイペース極まりない人々に翻弄される噺。耳の遠い人、気の短い(?)人、酔っぱらいが順番に出てくるわけだから、面白くないわけがない。これだけ笑ったのは何ケ月ぶりか。
- つづいては「蜂蜜」の講義。蜂蜜は喉に良いのだそうだ。小三治師匠は4種類の蜂蜜(レンゲ、アカシア、スペイン産、イタリア産)を持ち歩いているのだそうだ。それを専用の筆につけ、喉に塗る。ゲー! と言わないくらいに塗るのがコツ。私も蜂蜜は愛用していて、熊本の業者さんから買っている。油断すると、何度も何度も商品紹介の電話をしてくる、あの業者である。
- 演目は「野ざらし」。小三治師匠の「野ざらし」は案外、珍しいのではないだろうか(確証はないです)。骨を見つけ、供養してやるとその晩、女の幽霊が訪ねてくる。このパターンは関西だと「骨釣り」、「天神山」などになる。「天神山」はその後、結婚してしまうのだから、一番ハッピーな展開だろう。とんでもない幽霊が訪ねて来る「骨釣り」はアンハッピーエンドの秀作。「野ざらし」はオチまで語られることがほとんどない。「しまった昼間のは馬の骨だった」までを一度でいいから聴いてみたい。