怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

長坂秀佳と「判事・ラブホテル密会事件!」

  • 特捜最前線第194話「判事・ラブホテル密会事件!」(脚本・長坂秀佳 監督・天野利彦)を見て、あまりの面白さにふらふらのふらふらふらふらとなる。


[ストーリー]
東京地裁判事、桜井秀一郎は窃盗事件の被告人とラブホテルで密会している。そんなタレこみが特命課にあった。同じ頃、ホテルより出てくる判事と女性を撮影した写真が新聞各社に送られる。桜井判事は訴追委員会にかけられることに。記者会見の席上、判事に詰め寄る一人の男。彼こそ、判事の実弟、特命課刑事桜井哲夫であった。ホテルでの密会は本当にあったことなのか。桜井は刑事として、秀一郎の周辺を洗いはじめる。そんな彼の前に立ちふさがるのは、判事の弁護士、桜井道夫。桜井家の次男である。弁護士として、どのような手段に訴えてでも、兄を無実にしようとする道夫。判事としてではなく、人として真実を隠しつづける秀一郎。
桜井は、密会の相手、伊勢アヤ子を尋問する。彼女は勤め先のブティックで店主の金50万円を盗んだとして告訴されていた。公判中にもかかわらず、生活のためとパートを続けるアヤ子。その懸命な姿に、桜井は微妙な違和感を覚える。彼女を支えているものはいったい何なのか。
やがて、アヤ子を告訴した店主サナエの背後に関東島田組の影が。島田組幹部は賭博事件で公判中。その担当が桜井秀一郎であった。組織暴力犯罪には苛烈に対処する桜井判事。組の解散を恐れた島田組が、アヤ子を利用し判事を陥れたのではないか。桜井は単身、島田組に乗り込む。だがそこには、兄・道夫の姿が。対決する3兄弟。その結末は……?

  • 桜井道夫役、岸田森再登場。いわゆるキャラ萌えの一本。これもまた、長坂秀佳でなければ書けない脚本であったかも。
  • いかにもな長兄、その長兄を見て育ったいかにもな次兄、優秀な兄二人に押えつけられながら育ったいかにもな末っ子。あまりにもリアルな三兄弟のキャラ。
  • 中盤は藤岡弘対岸田森。165話「隣にいた絞殺魔」の第2ラウンドといった趣。結果として、今回は藤岡弘の勝利に終わるわけだが、欲を言えば、岸田森にも少し花を持たせて欲しかった。ただ、三者三様、一つの事件に対する立場の違いを浮き彫りにすることが本作の主眼であるから、それは仕方のないことかも。
  • 派手でも波乱万丈でもないが、しみじみと心に残る快作。
  • 長坂秀佳は連投。次回は「殺人メロディーを聴く犬!」