怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

長坂秀佳と殺人警察犬MAX

  • 特捜最前線第501話「殺人警察犬MAX」(脚本・長坂秀佳、原案・会川昇 監督・辻理)を見て、あまりの面白さにふらふらとなる。

[ストーリー]
6頭の警察犬が突然、姿を消した。捜査中の隙をついた一瞬の犯行。その目的、手口もまったく判らなかった。捜査陣は、行方不明犬捜索のため、知能、判断力、行動力に特に優れた警察犬、バロンとマックスを導入。ところが、そのマックスまでもが姿を消してしまう。
その報せを聞き、犬養刑事は愕然とする。マックスはかってアマデウスという名で、犬養が可愛がっていた犬である。警察犬ナンバー1と言われたマックスは、いかにしてさらわれたのか。
やがて、深夜のスーパーで男性が犬にかみ殺される事件が。被害者は沢井という税関の職員。防犯カメラの映像から、襲ったのはマックスであるらしい。マックスが姿を消して3日。3日の間に、警察犬を殺人犬へと調教し直すことは不可能だ。犬養はマックスの訓練士町谷とともに捜査を続ける。そんな中、空き地に埋められた犬6頭の死骸が発見される。犬たちは無惨にも頭部を砕かれ、殺されていた。
スーパーの防犯ビデオをチェックしていた桜井は、マックスの頭部に電極が仕込まれていることに気づく。犬養は大脳生理学の前島教授の許へ。教授は、犬の大脳に特定電流を流すことで、攻撃行動をとらせることが可能になると説明。電流によって犬たちが操られている可能性を指摘する。
マックスによる殺人はつづく。次に襲われたのは、中野という交番の警官。犯人はその模様をビデオに録り、現場に残していった。陰湿で執拗な犯人の行動。
被害者二人に共通するものとは何か。やがて、第三の殺人が発生。マックスを愛する犬養は、懸命にその居所を捜す。

  • 本作は一般視聴者からのプロット公募作だとか。とにかく、犯人像の凶悪さ、醜悪さが際立つ。犬を殺すことに頓着しない半ば狂った精神が、むちゃくちゃな動機とリンクしていて、逆にリアル。とにかく理不尽な動機でもって、突然、災いがふりかかってくるというプロットは長坂節の重要な要素の一つである。
  • あまり目立たないが、叶刑事もマックスを可愛がっていた描写が登場。犬といえば、叶。
  • 殺人犬マックスに生き地獄を味わう訓練士町谷には、小林昭二。この人にああいう結末を迎えさせたことは、ちょっとやり過ぎかなと思った。どこまでも救いのないラストになってしまったので。
  • 第195話「殺人メロディを聴く犬!」は好きなエピソードなのだが、悪いのは人で犬は悪くないというスタンスは同じ。「殺人メロディ……」は犬の格好良さ、逞しさを感じさせてくれたが、本作はただただ、哀れさが漂うのみ。長坂氏も、犬にキカイダー的な哀れさを感じたと語っている。