怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

「TRUE DETECTIVE」 

  • "TRUE DETECTIVE " シーズン1 はTV史に残る傑作。U-NEXT で配信中だったはず。シーズン2以降(最新シーズン4が配信予定)の判断は各自。

 

「TRUE DETECTIVE」 

 

第1話

2012年、ルイジアナ州警察にてマーティン・ハートの供述から始まる。彼は、テキサスから来た元相棒ラスティン・コールについて「尋問」されていた。すべての発端は、1995年1月3日、サトウキビ畑の真ん中にある巨木の下で見つかった、全裸の女性死体だった。頭には鹿の角を被せられ、祈りのポーズをとらされていた遺体は、後に、オカルト儀式殺人「ドーラ・ラング事件」と呼ばれるようになる。検死の結果、被害者は覚醒剤、LSDを打たれた後に立ったまま縛られ、ナイフで拷問、その後、絞殺されたらしい。ハートとラストはこの事件の担当となり、聞きこみを開始する。その途中、彼らは数年前に失踪したマリー・フォンテーノという少女の話を耳にする。付近の森では、少女が何者かに追い回された事件も起こっていた。少女の目撃証言によれば、追いかけてきたのは、「緑の耳をしたスパゲッティの怪物」であったという。ここから、実に17年にわたる二人の刑事の物語がスタートする。2012年と1995年を、何の説明もなく、行ったり来たりする、かなり難易度の高いドラマ。聴取用のビデオには、ラストの聴取が2012年4月26日。ハートが5月1日となっている。そうした何気ない情報を頭に刻み込んでおかないと、あっという間に取り残される。

 

第2話

ドーラ・ラング事件は各方面に衝撃を与える。地元の有力者タトル牧師らが先導し、反キリスト教的犯罪の捜査班の導入を決める。ラストは猛反発。その後の調べで、ドーラは教会に通っていたことが判る。その一方で、再び売春を行い、薬に手をだしてもいた。刑事たちはドーラの足跡を辿る。行き着いたのは、彼女が一時身を寄せていた「農場」と呼ばれるトレーラーパーク。人々の口に上る「教会」とはいったい何処にあるのか。2010年パートでは、ようやくラストの過去が明らかとなり、1995年パートでは、ハートの家庭に修羅場の予感(農場でベスという少女に出会うのだが、記憶に止めておく必要がある)。それにしても、時間軸の移動が容赦なく、かなりの集中力を要する。

 

第3話

ようやく突き止めた教会は放火により焼け落ちていた。だが、その焼け跡の壁に描かれた絵は、ドーラ・ラングの事件現場そのものだった。一週間後、二人は「キリストの友」の所在地を突き止める。布教活動を行っているのは、テリオット牧師。彼の師はタトル牧師だ。テリオットの証言によれば、ドーラ・ラングは間違いなく「教会」出入りしていたらしい。目撃証言によれば、背の高い、顔に傷のある男がドーラと一緒にいたらしいが……。信者バートのエピソードが胸に染みる。彼は2012年、どうなっているのか。この回重要。すごーく重要。

 

第4話

レジー・ルドゥーは、ドーラの夫と同房だった。夫はレジーに妻の写真を見せ、身の上話もきかせていた。ドーラが被害者となったのは、そのためなのか。夫によれば、ルドゥは「コック」と呼ばれ、クレンザーなどから薬を作ることができる男。ルドゥの居所を突き止めるため、刑事たちは奔走する。ラストは潜入捜査時代、ルドゥの居所を知っている売人のバイカーと取引をしたことがあった。男はラストのことをいまだ売人と思っている。彼らは「法の外」で動くことを決める。ラスト、強奪と暴動の六分間永回し。ラストが見張りに銃を突きつけてから、拉致したバイカーを車に乗せるまで、ワンカット。すごい。すごすぎる。

 

第5話

拉致したバイカーの一人ジンジャーを使い、ルドゥに接近しようとするラストたち。ルドゥの相棒を尾行し、ついにアジトを突き止める二人。だが、彼らがそこで見たものは、想像を絶する光景だった。結局、ルドゥと相棒は死亡。ラストとハートはアジトに監禁されていた少女一人を救いだし、ヒーローとなる。それからの七年、彼らの人生は好転していくが……そして2002年。殺人犯ガイ・レナード・フランシスの尋問に当たったラストは、彼から思わぬことを聞く。1995年の事件は終わっていない。犯人は三人。主犯はまだ逃げ延びていたのだ。2012年、ハートとラストが尋問されるわけがようやく明らかとなり……ステファニー・コーディァッシュの死体が見つかる。それはドーラ同様、装飾された遺体だった。

 

第6話

2002年、ガイの一件が引き金となり、ラストは一人捜査を始める。近隣で行方不明となった少年、少女の近親者を当たっていくラスト。ハートはベスと再会。家庭は再び崩壊へと向かう。テリオット牧師、落ちぶれて。ラストはタトル伝導会が出資していた泉プログラムに着目する。プログラムは既に中止されていたが、その蔭には、牧師による小児性愛問題があった。一方、単独捜査に集中するラストは相棒ハートとの間もこじれる。やがて決定的な出来事が。二人は袂を分かち、ラストは警察を去る。1995年、ラストたちが救いだした少女ケリー。強硬症を発症した彼女は七年後も病院にいる。ラストは彼女から、「三人目の男」について聞き出すことに成功するが……ラストとハートの喧嘩は、1995年のやり取りの裏になっている。同じやり取りでも、人の感情によって結果は真逆になる。面白い。1995年の人々が登場。みんなろくなことになっていない現実。何より素晴らしいのは、テールランプだ。10年という時間が飛ぶ。

 

第7話-8話

10年ぶりに再会したハートとラスト。レイク・チャールズ事件。ラストはやり残した事を片づけるようとハートを。ラストはそのため二年前に舞い戻り、独自に調査を続けてきたのだ。もはや警察官ですらない二人は、再び捜査を開始する。ラストはタトルの学校の半径15キロ圏内で女性、子供が消えている事実を突き止める。その数は平均値より明らかに高い。20年前、なぜタトルは特捜班の介入を望んだのか。当のタトルはすでに死んでいる。ハリケーンの混乱も利用し、犯人は……。ここからはピースの収拾だ。17年前から今まで、散りばめられたピースを一つ一つ集めていく。膨大な情報量が緻密に計算され、そこかしこに紛れこませてある。